

アレルギー性鼻炎(花粉症)とは?
アレルギー性鼻炎は、花粉、ダニ、ペットの毛などのアレルゲンが鼻の粘膜に付着し、免疫系が過剰に反応することで発症する炎症性疾患です。特に春先に飛散する花粉が原因となる場合を花粉症と呼びます。
主な症状には、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、喉のかゆみなどがあります。これらの症状により、仕事・勉強・家事への集中力が低下、睡眠が妨げられるなど日常生活に大きな影響を及ぼします。

検査について
アレルギー性鼻炎の診断には、必要に応じて以下の検査を行います。
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問診
症状の経過や家族歴、生活環境について詳細に伺います。
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血液検査
血中のIgE抗体の量を測定し、現在の体内の各アレルゲンのクラスという段階的な量を調べ、スギやヒノキ花粉、ハウスダスト、ダニなど何のアレルゲンが血中で増加しているかなどを特定します。
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イムノキャップラピッドを使ったこどものアレルギー検査
当院では4〜5歳くらいから指先から2〜3滴の血液で調べるアレルギー検査が可能です。約20分で8つのアレルゲンを同時に測定できます。

治療方法について
治療方法は多岐にわたり、症状の重さや個々の患者さまの状況に応じて選択されます。
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症状の抑制
抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などが使用されます。症状を抑える際に効果的です。
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環境調整
アレルゲンの除去や減少を図るための対策も重要です。例えば、空気清浄機の使用、マスクの着用、家の掃除などがあります。
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レーザー治療
当院では花粉症・アレルギー性鼻炎の症状がひどい患者さまに、最新のレーザー機器を用いて、症状の原因となっている部分の粘膜をレーザーで治療します。(出血はありません。)
レーザー治療に付きましては、完全予約制となっておりますので、まずはご来院・ご相談ください。
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1当日は軽食のみ。
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2予約の日に普通に来院。
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3麻酔薬のついたガーゼを鼻に入れてしばらく待つ(表面麻酔)。
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4麻酔で痛みがなくなった後、レーザーで鼻粘膜を蒸散(片方で5~6分)。
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5数日分のくすりを処方します。
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6当日から食事は普通に食べられます(アルコールはさけて下さい)。
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7当日・翌日は鼻粘膜が腫れますので鼻つまりが生じます。
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舌下免疫療法(SLIT)
舌下免疫療法は、アレルゲンを微量ずつ舌の下に投与し、体をアレルゲンに慣れさせることで、アレルギー症状を軽減する治療方法です。スギ花粉症とダニ(ハウスダスト)のアレルギー性鼻炎の方が対象となります。
治療は成人で約3年〜5年以上、こどもでも約3年以上にわたりますが、アレルギーの根本的な改善が期待されます。自宅で簡単に実施でき、保険適用で治療を受けることができるという利点があります。 -
ゾレア®による治療
ゾレア®(オマリズマブ)は、IgE抗体に対する生物学的製剤で、重症の季節性アレルギー性鼻炎・スギ花粉に有効です。2〜4週間毎に皮下注射で投与します。既存治療(抗ヒスタミン薬、点鼻薬等)を1週間以上使用しても効果が不十分な場合に使用が検討されます。(その他条件あり)
保険適用となりますが、投与量・投与間隔は、患者さまごとに異なるため、薬剤に関わる費用も異なります。
投与開始までには投与条件を満たすか確認するために数回受診していただく必要があります。
ゾレア®について
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慢性副鼻腔炎とは?
慢性副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻周囲の空洞)の炎症が長期間続く状態を指します。一般に12週間以上続く、あるいは繰り返す症状が特徴です。主な症状には、鼻づまり、鼻汁(特に膿性のもの)、後鼻漏(こうびろう)、長引く咳、顔面の痛みや頭痛、嗅覚低下などがあります。

検査について
慢性副鼻腔炎の診断には、以下の検査が行われます。
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問診
症状の持続期間や既往歴、生活環境について詳細に伺います。
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内視鏡検査
鼻腔内を直接観察し、鼻茸(鼻ポリープ)の有無を確認します。
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CT検査
当院では慢性や重症の副鼻腔炎の方には耳鼻科専用のCTを完備しており、
副鼻腔の詳細な画像を撮影し、炎症の広がりや鼻ポリープの有無を確認します。 急性の方は副鼻腔炎レントゲンを撮り、調べます。
嗅覚障害の症状のある方には内視鏡とCT検査の他にニオイのテストも行っています。

治療方法について
治療は症状の重さや原因に応じて選択されます。
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薬物療法
抗生物質、ステロイド点鼻薬、去痰剤(痰切り薬)などが使用されます。炎症の抑制や感染の治療に効果的です
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生活習慣の改善
禁煙、アレルゲンの回避、鼻洗浄などが推奨されます。特に鼻洗浄は、副鼻腔内の分泌物を除去し、炎症を軽減する効果があります。
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デュピクセントによる治療
デュピクセント(デュピルマブ)は、インターロイキン-4とインターロイキン-13を標的とする生物学的製剤です。過去に手術を行ったが再発した方の重症慢性副鼻腔炎に対し、皮下注射で定期的に投与します。炎症を抑えることにより、鼻症状を改善する効果が期待できます。
デュピクセントについて
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